在宅療養とは(その3)

在宅療養とは(その2)の続き

在宅療養とリビングウィルは切り離せない関係にある.

リビングウィルという言葉を皆さんも聞いた事があるだろう.
一般的にリビングウィルとは,避けられない死に直面した場合に,1分でも1秒でも長く生かすためにあらゆる侵襲的な手段をもってしても延命処置を行うのか,それともそのような無理な延命処置は行わず静かにお看取りをするのか,患者さん本人が生前に自分の意志で決めておく事である.

避けられない死が迫った場合に,あまりに侵襲的で非人道的な処置は行わず,静かに親族一同で看取ることを「尊厳死」ともいう.

リビングウィルでは,多くのことを詳細にわたって決めておかねばならない.
例えば,食べられなくなったら点滴をするのか,経管栄養を行うのか,しないのか?
血圧が下がったら,昇圧剤を持続点滴するのか,しないのか?
呼吸が止まったら人工呼吸器を使うのか,使わないのか?
心臓が止まったら,心臓マッサージをするのか,しないのか?
その他,決める事が沢山ある.

これらの延命処置は,このブログを読んでいる皆さんには,あまり馴染みのない状況と思う.
実際に,臨終の際の延命処置ではどんなことが行われているのか,想像がつかないのではないだろうか?
それなのに,そのような重要なことを事前に決めておけと言われても,決められる訳がない.
身近でそのような経験をする機会があれば,是非知っておいてもらいたい.
生きていれば,誰もが必ず1回は経験する事なのだから.

さて,この延命処置の内容が解ったとして,それを希望するしないには,良いも悪いもない.
正しいも間違いもない.
それは,その人の生死観や人生観が決めるものであって,その人の生き方なのである.

在宅医療に話を戻そう.
在宅医療を受ける患者さんは,必ず何らかの慢性疾患を療養中である.
それらは急激に悪化するかもしれない.
急に状態が悪くなったときに,それが治療可能な急性増悪ならば悩む必要はない.
積極的に治療を行うべきだ.
必要なら入院治療をして,良くなったら再び在宅療養を行えば良い.

では,どうしても改善のしようがない状態だったらどうだろうか?
そのまま住み慣れた住まいで静かに息を引き取るのか,それとも無理を承知で1分でも延命するために救急病院へ救急車で搬送して,侵襲的な延命治療を行うのか?

決められないですよ,簡単には.

今回で在宅療養のお話はしばらくお休みします.
今後も不定期で在宅療養の事をお伝えしていきます.

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このページは、院長が2010年3月18日 22:27に書いたブログ記事です。

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